2023年に産駒がデビューしたばかりのシュヴァルグラン。
ブリーダーズスタリオン繋養ということで社台スタリオン繋養のレイデオロやブリックスアンドモルタル、また同じハーツクライ後継種牡馬で産駒が勝ちまくっているスワーヴリチャードに比べると注目度は劣るかもしれません。
しかしこの馬はなんせ良血ですし、血統構成も素晴らしいのでかなりのダークホースと見ています。
今のところスワーヴリチャードとは差を付けられてしまってますが、こちらのシュヴァルグランは堅実そうなので徐々に頭角を現してくると思いますよ。
ちなみに、23年産駒デビューの種牡馬ではニューイヤーズデイとスワーヴリチャードの解説記事もありますので、よろしければ見てみてください。
では、血統表を見ながらシュヴァルグランの血統のストロングポイントと、どんな血統構成が良さそうか解説していきます。
まずはシュヴァルグランの血統表を確認してみましょう。
まずは父ハーツクライと母ハルーワスウィート、この2頭に分けてシュヴァルグランの血統がどのような特徴なのか見ていきたいと思います。
父ハーツクライの特徴
まずは父ハーツクライを見てみましょう。
ハーツクライは数あるサンデーサイレンス後継種牡馬の中でもディープインパクトに次ぐ存在。
シュヴァルグラン産駒として考えると「父父」となるわけですが、父父としてはジャスタウェイがまずまずの実績を残していて、母父としても既にエフフォーリア、タガロアとG1馬を2頭出しています。
サイアーラインの発展はジャスタウェイと今回のシュヴァルグラン、そして何と言っても同じく今年産駒デビューのスワーヴリチャードの3頭にかかっていると言っていいと思います。
ハーツクライが伝える血統傾向としては、サンデーサイレンスの俊敏性と持続力に、トニービンとリファールでさらに持続力を加えた王道血統と言えますね。
特にシュヴァルグランにとってはサンデーサイレンスの俊敏性が父ヘイローから来ているということがポイントです。
母ハルーワスウィートの特徴
母ハルーワスウィートはシュヴァルグランの他にもヴィクトリアマイル連覇に牝馬3冠が全てジェンティルドンナの2着だったヴィルシーナ、秋華賞とドバイターフを勝ったヴィブロスと3頭のG1馬を産んだ名牝。
とんでもない繁殖成績を残した訳なんですが、その血統構成を見るとスゴすぎて「何も言えねぇ」です。言えたとしても「そらそうよ」くらいのもんですな。
ハルーワスウィートの解説は、さらにその父マキャベリアンと同じく母ハルーワソングに分けて見ていこうと思います。
父マキャベリアン
ハルーワスウィートの父はミスプロ系マキャベリアン。
マキャベリアンは、父としては主にヨーロッパで活躍する産駒を輩出、日本でも母父としてハルーワスウィート一族以外にもヴィクトワールピサも出していて注目度の高い血統です。
マキャヴェリアンの最も重要なポイントは母父ヘイローの俊敏性を高い確率で伝えることです。
これは、マキャベリアンの母クーデフォリーがヘイローの母母アルマームードのクロスを3×3で持っていることによります。
このアルマームードという馬がまた世紀の名牝で、孫にヘイローがいるだけでなく、20世紀最高の種牡馬ノーザンダンサーもアルマームードの孫です。
アルマームードについてはコチラの記事で詳しく解説しております↓
マキャベリアンは名繁殖牝馬の父としても有名で、ハルーワスウィート以外にもホワイトウォーターアフェアやソニンクがいます。
ホワイトウォーターアフェアからは皐月賞、有馬記念、ドバイWCのヴィクトワールピサ、安田記念のアサクサデンエン、天皇賞2着のスウィフトカレントが出ています。
ソニンクからは直仔のG1馬はいませんが、孫の代からダービー馬ロジユニヴァースや秋華賞とナッソーSを勝ったディアドラが出ていて、ひ孫の代からも安田記念連覇とヴィクトリアマイル勝ちがあるソングラインが出ています。
マキャベリアンの遺伝力の高さによるところが大きそうですね。
母ハルーワソング
次にハルーワスウィートの母ハルーワソングですが、父はスペシャル牝系のタフさを伝えるヌレイエフ。
そして母母はヘイロー直仔のグロリアスソングです。
このグロリアスソングがまたマキャベリアン同様に遺伝力が高いんですよね。
グロリアスソングの直仔では種牡馬として大成功したシングスピールとラーイがいて、孫にはハルーワソングの他にもNHKマイルカップ勝ちのダノンシャンティがいます。
また、シングスピール産駒にはオークス馬シンハライトをはじめ重賞馬3頭を産んだ名牝シンハリーズがいます。
そしてもう一度血統表を見てもらうとわかるんですが、ハルーワソングの父父はノーザンダンサーなので、マキャベリアンと同様にアルマームードのクロスを持っています。
サンデーサイレンスとマキャベリアンとグロリアスソング
もう一度ハルーワスウィートの血統表を載せておきます。
シュヴァルグランの母ハルーワスウィートはマキャベリアン×ハルーワソングという血統なんですが、これはまとめるとヘイロー3×4のクロスとアルマームード5·5×5·6のクロスを持つということになりますね!
ここまでマキャベリアンとグロリアスソングはすごいゾ、ヘイローはすごいゾと説明してきたんですが、ヘイローと言えばやはりサンデーサイレンスなわけです。
マキャベリアンとグロリアスソング、そしてサンデーサイレンス。
この3頭を私は「世界3大ヘイロー血統」と勝手に呼んでおります。
3大ヘイロー血統のスゴイところは、こいつらを組み合わせることによってボコボコG1馬が出ているところですね。
それではちょっと見てみましょうか。
スゴイでしょ。
ここまで来て改めてシュヴァルグランの血統表を見るとムムッとなるはずです。
シュヴァルグランと相性の良い血統は?
ここからはシュヴァルグランと相性の良さそうな血統について考えてみます。
もう一度シュヴァルグランの血統表を確認してみてください。
シュヴァルグランの血統構成をざっくり説明すると、まず3大ヘイロー血統を全部持ってますんで圧倒的に俊敏性があります。
あとは父母アイリッシュダンスのところに入るトニービン+リファールで持続力を補強、母母ハルーワソングに入るヌレイエフのスペシャル牝系でタフさを補強といったところだと思います。
やはりG1馬だけあってバランスの良い血統構成なんですが、父となった時の配合面を考えるとけっこうムズカシイです。
へたに母から俊敏性や持続力をもってくるとバランスがくずれる気がします。
このバランスをくずさないようにするには母方にアメリカ系のパワーをもってくるのが良いかなぁと思いますね。
さらには、シュヴァルグランがアルマームードの血をかなり濃くもっているので、リスク回避の意味でできれば母父か母母にはアルマームードが無い方が良いですね。
アルマームード無しとはつまりノーザンダンサーとサンデーサイレンス無しってことです。
この2つの条件で考えるとまず思いつくのは母父シンボリクリスエスでしょうか。
例えばラドラーダとの組み合わせだとこんな感じです。
シンボリクリスエスに入っているロベルトとヘイルプラウドリーがパワー血統ですね。
あとは奥の方にノーザンダンサーが1本あるだけのクロフネですかね。
例えばアエロリットと組み合わせるとこんな感じ。
クロフネの父父デピュティミニスターがパワー血統ですね。
アエロリットの母父はネオユニヴァースなんですがマキャベリアンとナゾに相性が良いので、ネオユニも注目ですね。
ネオユニヴァース×マキャヴェリアンの組み合わせはヴィクトワールピサ、ロジユニヴァースがいます。
まとめ
1.シュヴァルグランは世界3大ヘイロー血統を全部もっていて、俊敏性を高い確率で伝える。
2.ヘイロー以外の部分は持続力を伝えるトニービンとリファール、タフさを伝えるヌレイエフが入りバランスが良い。
3.母からはシンボリクリスエスやクロフネのようなアメリカ系パワー血統を入れるのが良いと予想。
4.マキャベリアンとネオユニヴァースは相性が良いので、ネオユニヴァースを持つ母も注目。
シュヴァルグランはヘイローの俊敏性を強く伝えそうな血統構成。
現在の日本競馬としては最重要ポイントを押さえていて、産駒のアベレージが高いタイプじゃないかと思います。
23年産駒デビューの種牡馬の中では3番手評価にしていて、成功して欲しい種牡馬なんですよね。
ちなみに、23年産駒デビューの種牡馬の私の予想はこちら。
◎ニューイヤーズデイ
〇スワーヴリチャード
▲シュヴァルグラン
ブリックスアンドモルタル、レイデオロを無印にして勝負です。
穴党なもんで。
ニューイヤーズデイとスワーヴリチャードの解説記事もよろしければどうぞ。
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