前回に引き続きブラックタイプの見方について。
今回は競争成績ではなく繫殖成績を評価するということについて解説していきます。
↓前回までの記事
ブラックタイプの見方その1ブラックタイプの見方 牝系・血統の評価方法
ブラックタイプの見方その2ブラックタイプの見方 ボトムライン(直牝系)を評価する
母の競争成績は繁殖能力とは関係ない
母の繁殖としての期待値って、母自身の競争成績とは関係ないんじゃないかと考えています。
その理由を解説します。
まず下の牝系図を見てください。
例①未勝利Bの子どもCと重賞勝ちJの子どもK
前回の記事で載せたものとほぼ同じです。
今回は緑囲みにしたCの馬とKの馬を見てみます。
未勝利に終わったBとその妹で重賞を勝ったJがそれぞれ母親です。
未勝利Bの子どもCと重賞勝ちJの子どもKではどちらがデビュー時に期待されるでしょうか。
言うまでもなくKだと思います。
しかし、実際にはその期待とは逆に、KよりもCの方が活躍するということは結構あります。
そんな時によく言われることは、未勝利Bの方が競走馬時代の消耗が少なかったので、繁殖として良い仔を出した、という理屈です。
この理屈もまぁあるのかもとは思うんですが、おそらく誰も統計をとったことは無いだろうし、そもそも競走馬時代の消耗度について測定することは難しいです。
それよりも、母親の競争成績は繁殖能力とは関係ない、と考えた方がシンプルな気がします。
①未勝利Bの繫殖としての期待値
重賞勝ちJを産んだ優秀な繁殖Aを母にもつ
②重賞勝ちJの繫殖としての期待値
重賞勝ちJを産んだ優秀な繁殖Aを母にもつ
BもJも初仔を産んだ時の繫殖としての期待値は「重賞勝ちJを産んだ優秀な繁殖Aを母にもつ」という同等の評価とするのがシンプルな考え方で良いのではないかと思います。
繁殖成績を評価するとは?
繁殖成績を評価するとはどういうことなのか。
これについて解説したいと思います。
下の牝系図を見てください。
例②未勝利Cの子どもFと未勝利Kの子どもL
上の例②は例①から代が進んだ牝系図です。
未勝利Bの産んだ子どもは、Cは未勝利に終わったものの、妹Gが重賞を勝ちました。
一方、重賞勝ちJは未勝利Kしか産むことができませんでした。
今回比較したいのは「未勝利Cの子どもF」と「未勝利Kの子どもL」です。
①未勝利Cの繫殖としての期待値
重賞勝ちJを産んだ優秀な繁殖Aを祖母にもつ
重賞勝ちGを産んだ優秀な繁殖Bを母にもつ
②未勝利Kの繫殖としての期待値
重賞勝ちJを産んだ優秀な繁殖Aを祖母にもつ
母Jは繁殖としては重賞勝ち馬を出せていない
という訳で、どちらも同じ未勝利の母ですが繁殖としての期待値はCの方が高いという見方ができます。
この例②のパターンで特に注目は「未勝利Cの母B」と「未勝利Kの母J」です。
①未勝利Cの母B
競争成績:未勝利
繫殖成績:重賞勝ちGを産んだ
②未勝利Kの母J
競争成績:重賞勝ち
繫殖成績:産駒は未勝利
競争成績ではなく繁殖成績を評価するとは、「重賞勝ちJ」よりも「重賞勝ちGを産んだB」の方を評価するということです。
競争能力ではなく繫殖能力が遺伝している
競争能力とは次の4つに影響されているものだと私は考えています。
①母の繫殖能力
②父の繫殖能力
③母と父の組み合わせ(相性)
④運
この4つの内、次の世代、子どもに遺伝していくのは、、、①母の繫殖能力のみです。
このため、母から子へは「競争能力」がストレートには遺伝しない。
競争能力に影響する4つの要因の内の1つ「繁殖能力」が遺伝する。
もちろん繫殖能力は代を経ても一定で伝わるわけではなく、父との組み合わせ、相性によって代を経るごとに変化していくと考えています。
このため、前回の記事で書いたこととも繋がってくるのですが、枝分かれしたラインではなく直牝系(ボトムライン)のみを評価することも大事だと考えています。
今回はこんなところです。
さて、3回にわたってブラックタイプの見方について記事にしていきました。
正直どこまで伝わったのか不安ですが、読んでいただいてありがとうございました。
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