今回は2023年度のサイアーランキングの分析と、今後のリーディング争いがどうなっていくのか、種牡馬界の今後を予想していきます。
23年サイアーランキングと今後の予想
23年は大接戦でしたがドゥラメンテがわずかにロードカナロアを抑えてリーディング。
表は中央サイアーランキングなんで4億円くらいの差がありますが、地方も含めた総合サイアーランキングだとその差は6000万円くらいしかありません。
しかもドゥラメンテ産駒は年末の有馬記念でスターズオンアースが2億円、タイトルホルダーが1億円と荒稼ぎ。
もしこれがなかったら、中央リーディングはドゥラメンテで総合リーディングはロードカナロアというとってもややこしいことになってました。
そのくらい今年の2頭は接戦だったってことですね。
去年の1月に23年はロードカナロアとドゥラメンテの一騎打ちでしょう、と言った予測は一応あたりました。
いや、まぁこんなん当ててもなんの自慢にもならんけど。
で、24年の予測ですけど、去年も言った通りロードカナロアとドゥラメンテの2頭にキズナを加えた三つ巴でしょう。
キズナは産駒デビュー前までは社台グループの良血繁殖牝馬にはあまりつけられてなくて、繁殖の質が上がったのが産駒デビュー翌年の20年種付の21年産、つまり今年のクラシック世代からですからね。
キタサンブラックについては完全に社台スタリオンのエース種牡馬となったと思うんですが、なんせ繁殖の質が上がるのはやはり産駒デビュー後に種付された23年産から。
なので、この世代がクラシック世代となる26年からはキタサンブラックもリーディングを争うことになるでしょうね。
逆に現役時代キタサンブラックのライバルだったドゥラメンテは今年の2歳がラストクロップ。
リーディング争いができるのは物理的に今年と来年のみですね。
キタサンブラックがリーディング争いに加わる26年にはドゥラメンテ産駒は古馬しかいなくなってしまうのでさすがにキビシイです。
なんせ、あのディープインパクトですら23年はクラシック世代がいなくなった結果、ランキング5位になっちゃったんで。
はい、それではサイアーランキング上位に入りそうな種牡馬を1頭ずつ見ていきましょう。
種牡馬デビューをした年ごとに分けて見ていきます。
17年組
ロードカナロア
産駒デビューから7年目だったロードカナロアはランキングがこれで4年連続の2位。
ディープインパクトがクラシック世代にほぼいないということで、リーディング奪取の最大のチャンスだったんですが、最後の最後にドゥラメンテに抜かれてしまいました。
24年もリーディング争いは間違いないと思いますが、今年はドゥラメンテだけでなくキズナも強敵になってくるので、23年にリーディングを取れなかったのは痛すぎです。
このままリーディングサイアーを一度も取れない可能性も結構出てきたような気がします。
キタサンブラック産駒の質が激上がりする26年以降はキビシイと思うので、今年24年と来年25年がリーディングを取るラストチャンスでしょうね。
23年の成績はというと、初めて中央重賞が二桁に届かず9勝。
G1はファストフォースの高松宮記念とブレイディヴェーグのエリザベス女王杯。
ホントはパンサラッサがサウジカップを勝ってるんですが…。
あ、、サウジカップを含めると余裕でリーディングサイアーとも言えるかも。
あと、中央だけで重賞9勝はかなりスゴイんですが、問題は勝率の方で昨年に続いて10%を切ってしまいました。
大物を出せるとはいっても勝率の高さがこの種牡馬の一番の強みだと思うので、このまま落ちてくるようだとちょっとリーディング争いは厳しくなってくるかな~。
オルフェーヴル
今年は中央サイアーランキング18位、総合サイアーランキングでも15位とベスト10に入れず。
22年までで3年連続で総合ランキングベスト10だったんですが、今年で連続記録が途切れてしまいました。
22年はウシュバテソーロという大物が現われたんですが、23年はそういった意味では新しいスターホースは出てこなかったですかね。
ただ、中央ランキングはもちろん総合ランキングでも海外競馬の賞金は入らないですからね。
…そりゃそうなんですが。
仮にドバイワールドカップの賞金約9億円を足すとランキングは一気に8位に跳ね上がります。
という訳で私の中では実質4年連続サイアーランキングベスト10達成です!
で、そろそろまたウシュバテソーロに続く大物が出てくるはず。
世間ではすっかりダート種牡馬扱いされてしまってるんで、次は裏をかいて芝の大物を出してくるんじゃないかな~。
あ、あと相変わらずですが2歳戦は激烈にダメです。
2歳馬はたったの6勝で2歳ランキング37位。
18年組
ジャスタウェイ
あまりサイアーランキング上位に顔が出せていない18年組。
唯一ベスト20に入ってくるジャスタウェイですが、今年もまぁまずまずという成績。
重賞勝ち馬こそいませんが、ルージュエヴァイユがエリザベス女王杯で2着。
勝率も7.6%とまずまず。
あとは代表産駒のダノンザキッドが引退してしまったので、ルージュエヴァイユがどこまで稼げるかと、去年全然走れなかったガストリックがどうかですかね。
実績的にはベスト10も狙える種牡馬だと思うんですが、なんせ2歳戦がよろしくなくてどうしても順位が上がってこないですね。
19年組
キズナ
23年は中央サイアーランキング4位。
これで3年連続で4位です。
ただ、冒頭でも言いましたがキズナ産駒は今年のクラシック世代から繁殖の質が上がっています。
2歳ランキングは強くて、初年度から3位→4位→10位→8位ときていたんですが、23年はついに2歳リーディングとなりました。
そして特に優秀なのが勝率です。
デビューからの期間が短い種牡馬の方が2歳馬の割合が高いんで、どうしても勝率が高くなりがちなんですが、キズナは5年目になってもまだ勝率が10%あります。
今年はリーディング争い間違いなしだと思うんですが、あとは大物が出るかどうかですね。
やっぱり有馬記念やジャパンカップの賞金はでかいんで。
エピファネイア
23年も22年に続いて中央サイアーランキング9位。
重賞3勝で少し盛り返したようにも見えましたが、種付け料1500万の種牡馬としてはかなり物足りない数字かなぁ。
勝率も7.7%で5年通算8.6%。
オルフェーヴルが7年通算8.5%なのでほぼ同じ数字です。
去年もこちらの記事で書きましたが、やっぱりエピファネイアって種牡馬キャラとしてはオルフェーヴルと似たところがあります。
たまに大物が出るけど全体の勝率は低い。
ではなんで世間的な評価がここまで違うのかと言うと、やはり2歳戦の強さです。
2歳サイアーランキングはキズナにわずかに及ばず2位でしたが、これで3年連続で2歳リーディング2位。
全体の勝利数99勝のうち2歳戦が33勝。
最近はあまりこの論争を見なくなりましたが、これはエピファネイア早熟説が出てもしかたない気が。
表の一番右に注目してほしいんですが、1頭当たりの賞金が596.7万円しかなく、これはオルフェーヴルはおろかジャスタウェイよりも低い数値です。(ちなみにオルフェーヴルは代表産駒のウシュバテソーロが去年中央で出走してないです)
まぁ勝ち数の1/3が2歳戦なんでそらそうなってしまうわなぁ…と。
これ以上書くと誰かに怒られそうなんで、まぁ、来年はてのひらクルーさせられることを期待します!
特にデアリングタクト、エフフォーリア級の超大物の出現ですね。
そのポテンシャルがあることは証明されているので。
→こんなこと書いてたら年明けから重賞3勝で絶好調ですね!
これは流れが変わるかな??
20年組
ドゥラメンテ
ドゥラメンテがついにリーディングを取りました。
4世代でのリーディング獲得はなかなかスゴイです。
まぁディープインパクトやキングカメハメハは3世代でリーディングを獲得してますが。
正直に言うと、23年リーディングはロードカナロアじゃないかと思っていたんですが、カナロア産駒が少し伸び悩んだという面もあったと思います。
ただ、24年はもう1世代増えるんで、これは単純にドゥラメンテ有利だろうな~。
今年はロードカナロアよりもキズナとの争いになるかもしれないです。
23年の成績はと言うと、中央重賞勝利数が初めての二桁、勝率は9.9%とわずかに10%を切ったけどそれでも十分に高いです。
亡くなってしまっているのがホントにもったいなくて、現役時代と同様に種牡馬時代もあっという間に頂点に立って、そしてあっという間にいなくなるんですねぇ…。
モーリス
23年は中央サイアーランキング7位。
22年が8位だったので、一つ順位を上げてるんですが、ドゥラメンテが5位から1位になったのと比べるとやや物足りない気も。
ただ、23年もジャックドールが大阪杯を勝ってこれで3年連続でG1勝ち。
勝率も初めて10%を切りましたが9.9%とドゥラメンテと全く互角。
距離適性や重賞勝ちの実績を見るとこれは完全にポストダイワメジャーの地位を確立したでしょう。
むしろ勝率はダイワメジャーより優秀。
どうしてもマイル前後が主戦場なのでリーディング争いはムズカシイですが、今後5年以上はマイル路線のトップ種牡馬となりそうです。
21年組
ドレフォン
23年中央サイアーランキングは11位。
3年目なのでベスト10まで入ってくるかと思いましたが、ちょっと伸び悩みました。
原因はハッキリしていて、とにかく重賞で活躍できてないですね。
重賞のAEIが0.14はちょっと悲惨です。
なんせ通算3年で重賞勝ちがジオグリフの皐月賞と札幌2歳ステークスの2勝だけです。
デシエルトは重賞を勝つポテンシャル十分だっただけにもったいなかったですね。
ただ、ドレフォンの良いところは成功パターンがわかりやすいところじゃないですかね。
ジオグリフ、デシエルトは超わかりやすい成功パターン。
今後はこのパターンが増えてくると思うんで、重賞戦線でも活躍が見られるんじゃないかと思います。
ちょっと2頭の血統表を載せておきますね。
勝率は3年目とはいえまだ10.9%ととても高い数字を残しているので、あとは重賞を勝てる馬をもう少しコンスタントに出すだけです。
配合次第ではまだ化ける可能性のある種牡馬だと思っています。
キタサンブラック
中央サイアーランキングは22年の14位から一気に6位までアップ。
イクイノックス1頭でキタサンブラック産駒全体の約1/3を稼いでますがwww
じゃあイクイノックスが引退した今年は大丈夫なのか、ということなんですけど。
たぶん大丈夫でしょう。
1頭だけたまたま大物が出たわけでは無くて、ソールオリエンスもいますし、亡くなってしまったけどスキルヴィングもかなりの素質馬だったと思います。
そして何よりこの勝率。
初年度から13.5%→12.1%→12.7%。
初年度から3年連続でこんな勝率を出している種牡馬って、近年ではディープインパクトくらいしかいないです。
初年度からの3年間の勝率を過去のリーディングサイアー達と比較してみます。
サンデーサイレンス:27.8%→20.5%→16.2%
ディープインパクト:21.9%→15.4%→15.5%
キングカメハメハ:10.8%→10.9%→11.6%
アグネスタキオン:17.3%→12.2%→12.3%
マンハッタンカフェ:8.8%→8.9%→9.6%
サンデーサイレンスとディープインパクトは別格ですが、キングカメハメハよりも上ですもんね。
26年クラシック世代からは種付頭数が大幅アップしてリーディング争いでしょう。
その時はドゥラメンテ産駒はいないので、ライバルはキズナ、スワーヴリチャード、コントレイルあたりでしょうかね~。
22年組
リアルスティール
23年はレーベンスティールが神戸新聞杯でソールオリエンスに勝利。
22年組の種牡馬としては繁殖牝馬のレベルが一番高かったと思うので、なんとか1頭大物を出せたって感じがありますね。
私はかなりリアルスティール推しだったので、もっと活躍馬を出して欲しかったな~という印象。
種牡馬リアルスティールの考察記事ではサンデークロスやキングマンボ=モネヴァッシアの全きょうだいクロスで大物を出すぞ、と言っていたんですが完全に空振りしました。
スミマセン。
ただ、23年は初年度よりも勝率を上げてきて11.9%。
これは繁殖レベルがけっこう高かったとは言え、かなり高い数値です。
2歳戦のみの初年度よりも勝率が上がるというのは、意外にも晩成血統の傾向がありそうです。
社台スタリオンから出されてしまったのは残念ですが。
うーん、ちょっと見限るのが早かったような気がするけどね。
2年目の勝率11.9%ってそんな馬なかなかいないよ。
サトノクラウン
勝率4.0%とぼろぼろですが何と言ってもダービー馬タスティエーラを出しましたからね。
23年の収得賞金が約9億円でそのうちタスティエーラだけで5.6億円くらい稼いでます。
23年度の種付はタスティエーラの活躍で前年からほぼ倍の163頭。
24年度もかなりの頭数になるんじゃないかと思います。
24年産からは質量ともに産駒のレベルが上がりそうなんで、今年中にもう1頭大物が出せると、かなり種牡馬としての地位が確立されるんじゃないかと思います。
サトノクラウンも種牡馬考察記事を書いていて、こちらはサンデーサイレンスを持つ母が良いでしょう、ってベタなことを書いておりますw
タスティエーラは母父マンハッタンカフェなんでまぁ一応OKでしょ。
ただ、母父キングカメハメハはちょっと疑ってかかりたい、と言っていたんですよね…。
これまで産駒6頭デビューで3頭勝ち上がりとなかなか優秀な成績でした。
スミマセン。
【種牡馬】サトノクラウン産駒の配合ポイントは母父サンデーサイレンス系
23年組
スワーヴリチャード
23年のファーストサイアーランキングが圧倒的だったスワーヴリチャード。
2位ブリックスアンドモルタルの2.2億円に対してほぼダブルスコアの4億円を稼ぎました。
2歳リーディングはキズナ、エピファネイアにわずかに及ばず3位でしたが、初年度でこの数字は素晴らしい。
しかもブリックスアンドモルタルやレイデオロのように社台グループの期待馬として繁殖を集められた訳でもないと思いますしね。
勝率14.4%もスゴイ数字だし、レガレイラでG1も勝ってしまいました。
種付け料も一気に1500万円と爆上がり。
これはもう同年の種牡馬たちと比べてもどうしようもないので、過去にファーストサイアーリーディングとなった種牡馬やリーディング級の活躍をした種牡馬たちの1年目の成績と比較してみました。
さすがにディープインパクトには及びませんが、似たような成績なのはドゥラメンテあたりですね。
現状ではロードカナロア、キズナ、ドゥラメンテ、キタサンブラックの現役ビッグ4に肩を並べる数字と言えますね。
しかも種付時はその年の期待馬とされていたわけでは無いですし。
なんでスワーヴリチャードがこんなに大ヒットしたのか、過去の考察記事ですが参考にはなると思うんでよろしければどうぞ。
24年デビューの新種牡馬は?
24年デビューの新種牡馬は、種付け頭数が多いのは、ルヴァンスレーヴ、サートゥルナーリア、ゴールドドリームの順。
リストを見た第一印象ではやはりサートゥルナーリアが本命ということになりますかねぇ。
この馬についてはそのうち考察記事を出そうと思いますが、配合ポイントもわかりやすそうな感じがします。
あとちょっと穴っぽいところでアドマイヤマーズですね。
なんせ日本競馬と言えばヘイローを重ねてクロスしておけばOKみたいなところありますので。
ヘイロークロスが神。
ヘイローイズカミング。
そういうこと。
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